本読む馬鹿が本を読む

好きな本について書いています。あなたがまだ読んでいくて、おもしろそうだ読みたいと思ってもらえるような本が見つかるととても嬉しいです。

任天堂の大ヒットはこの人、横井軍平から始まった-『横井軍平ゲーム館』

横井軍平ゲーム館

横井軍平という人はご存知でしょうか?

横井軍平を知らなくても、任天堂はご存知でしょう。
日本が世界に誇るゲームカンパニーですよね。
ファミコンスーファミゲームボーイ・64・Wii・DS・switch…
その任天堂の今の大ヒットは、この人から始まったといっても過言ではない、それが横井軍平という人なんです。

横井軍平とは

本の紹介に入る前に、横井軍平についてもう少し書かせてください。

同志社大学電子工学科を卒業したものの就職先が決まっていなかった横井軍平は、コネで任天堂に入社。
まだ任天堂花札やトランプを売っていたころです。

任されたのは設備の保守点検。
その仕事があまりに退屈なもので、玩具をつくってサボっていたのを当時の社長に見つかってしまいます。

社長に呼び出されたので怒られるものだと思いきや「それを商品化して売りなさい」とのこと。
そうして販売したのが『ウルトラハンド』と呼ばれる商品。

ウルトラハンド

大ヒットし、横井軍平は開発課に転属。
そしてその後も次々とアイデアに溢れた商品を世に出し、『ゲーム&ウォッチ』や『ゲームボーイ』といった大ヒット作を生み出していくのでした。

横井軍平ゲーム館』について

そんな横井軍平氏が手がけた製品が網羅されています。
数にして25。
その手がけた製品すべてに込められたアイデアと工夫を知ることができる一冊となっています。

徹底したユーザー目線に立ち、この商品がどうあるべきなのか考え抜くということ。
そんな横井軍平氏のものづくりの哲学も知ることができます。

枯れた技術の水平思考

横井軍平氏のものづくりにおいて「枯れた技術の水平思考」というものがよく取り上げられます。

まず最新のハイテク技術を使うのではなく、一昔前の技術を使うということ。
それは一般に普及しているので安価で使うことができます。
それを本来の用途ではなく、視点をズラし、アイデアを加えることでユーザーが驚くような製品をつくる、というものです。

たとえば『ラブテスター』という製品は、実を言うとただの電流計。
ただの電流計を手を繋いだ二人がそれぞれの端を握る。
そうすると電流が流れ、汗ばんでいればよく電流が流れるという仕組みを玩具に仕立て上げたんですね。

ラブテスター

このように製品に込められたアイデアと工夫がこの一冊には詰まっています。
おもしろいです。

ゲーム&ウォッチ』はたまたま社長の車の運転手をしたことで生まれた

ゲーム&ウォッチ

ここからは、この本に書かれていた製品に関する印象的なエピソードを紹介します。

まずは『ゲーム&ウォッチ』という商品。
僕はこれの実物を見たことがないのですが、世界中で大ヒットしたものだそうです。

新幹線の中でサラリーマンが電卓を使って暇つぶしをしていたのを見た横井軍平
そのときから頭の中には小さなゲーム機の構想があったそうです。
ただその時はすごいアイデアだとは思っていなくて、自分の中であたためていただけでした。

ある日、社長の専属運転手が休みになり、かわりに運転手を命じられた横井軍平
道中の場つなぎのために小さなゲーム機の構想を話しました。
そこから、これまた偶然シャープに話がいきます。
そして小さなゲーム機の話が一気に具体化していくのでした。

ゲームボーイ製作中に考えた自殺

ゲームボーイ

協力会社のシャープからあがってきたゲームボーイの試作品を見てOKを出した横井軍平
そのOKを受け、シャープは40億円かけ専用の工場をつくりました。
その後、その試作品の液晶に問題があることが発覚。
事の重大さと責任を感じ、自殺を考えたそうです。
その後、液晶はなんとかなり発売となりました。

モノクロにこだわったゲームボーイ

ゲームボーイをカラーにしなかったのは「コストが高くつく、電池寿命が短くなる」からでした。
持ち歩いて遊ぶのだから、乾電池でしかも長い時間遊べないといけない。
「カラーにしないか」という声も多くあったそうなのですが、持ち歩かなければ意味がない、それには電池がすぐなくなってはいけない、と徹底的にユーザー目線に立ち開発。

その後カラーのライバル機が発売されますが、電池寿命が短いことで人気は出ず、ゲームボーイの圧勝となりました。

僕は横井軍平になりたい

僕はこの本を読み、横井軍平になりたいと思いました。
イデア、工夫、徹底したユーザー目線。

マジックハンド、ラブテスターゲーム&ウォッチゲームボーイ
僕が思い付きたかった…